今回、法政大学のみなさんが、調査のために阿蘇へ来てくれました。
以下は、その時の草原ライドの体験をもとに、5名の学生さん達が作成してれた記事です。
はじめまして。法政大学現代福祉学部に所属している学生です!
私たち5人はサステナブルな観光についての調査のために阿蘇を訪れ、町古閑牧野にて草原ライドを体験しました。
今回は、草原ライドの運営をされている「あそたんガイドツアーズ」様のご協力のもと、学生からの視点で「草原ライドの魅力・感じたこと」を3人の学生(担当:中村・船木・森)が紹介します。
他の2人(担当:吉田・田川)の記事はこちらです。
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【草原ライド体験】
今回私たちが体験した草原ライドとは、阿蘇の草原内を電動アシスト付き自転車で駆け抜ける自転車ツアーです。
実際に放牧や野焼きの行われた草原の中に入る貴重な体験ができます。阿蘇の絶景を眺めたり、阿蘇五岳を望むスポットもあります。
ツアー代金には牧野保全料(1,000円/1人)が含まれているため、体験が環境保全にもつながります。
電動付きアシスト自転車(e-bike)によって体力に自信のない女性でも、無理なく楽しんで草原を駆け回ることができました!
では、ここからは、担当それぞれの視点で草原ライドについてご紹介します。
阿蘇の「人」を感じる草原(担当:中村)
「草原とは自然であり、勝手に出来上がったものである。」と、阿蘇に訪問するまでの私たちは大きな勘違いをしていました。
本当は、草原は人の手が加わってこそ成り立っているところだったのです。
例えば、草原が荒れて森になっていないのは“野焼き”という人間の活動が行われているからです。
放牧されている牛たちを私たちが目にすることができるのは、草原を管理する組合の方々が毎日、牛の頭数を数えたり状態をチェックしたりする作業が行われているためでした。
このように草原ライドでは、阿蘇の人々を感じることができます。
草原は阿蘇の生業の賜物であり、人をつないでいくことを体感しました。
また、草原へと入る前に靴を除菌して菌を持ち込まないようにしたり、時期によって牛がいる場所が変わることに合わせてルートを変えていたりすることを知り、草原はみんなでルールを守り、協力して使っていくべきものなのだと痛感しました。
草原ライドの料金の中には草原保全料の1,000円が含まれています。
ガイドとして草原を使わせていただけていることへの感謝と、保全に少しでも貢献するための制度だそうです。
草原ライドを様々な人が体験し、草原が地域内外の両方の人にとって大切なものとなればいいなと思います。
草原の「感触」(担当:船木)
実際に草原を走ってみてまず驚くのは、想像以上に地面がでこぼこしていることです。
上の写真からもわかるように、外から見る草原はとても雄大です。おおらかで優しげで、思わず寝転がりたくなります。
しかし、いざ草原にこぎ出すとすぐ分かるのですが、実際の草原はすごくでこぼこしています。サドルからお尻を上げないと、震動が直に伝わってきてすごく揺れます。
どうやらイノシシなどの野生動物が地面を掘り返し、それを草が覆い隠してしまうようです。
見える景色はそのままに、震動だけは荒野のごとしなので、最初のうちはかなり混乱しました。
が、はたから見ているだけでは絶対にわからない、ここだけの体験をしているという高揚感にすぐに変わりました。
お尻に伝わる震動は、間違っても走る人のために整えられることなどない、草原そのままのあり方が今も残っているということを教えてくれたのでした。
ツアーの合間にガイドの藤原ご夫妻と話す機会がありました。
お二人は、私たちが草原ライドを体験した町古閑牧野の中の人ですが、もともと阿蘇に住んでいたわけではなく、他の地域からやって来たいわゆる「移住者」なんだそうです。
「阿蘇に元から住んでいる人はそれが当たり前になっていて阿蘇の魅力に気づきにくい。移住者は他の地域と比較できるからこそ阿蘇の素晴らしさがわかる」という考えのもと、阿蘇の魅力をもっと広めるために活動されています。
藤原さんたちは移住者としてスタートしたわけですが、「道の駅阿蘇」と協力して現役の草原を使用するツアーを認められたり、野焼きや輪地切り・輪地焼きに参加したりと、今では阿蘇の地域に溶けこんでいます。
二人はまだまだというけれども、もうすっかり”阿蘇の人”であるように思えました。
※ 輪地(わち)切り:野焼きのための防火帯の草刈り
※ 輪地焼き:防火帯を焼く作業
草原の魅力を伝える「ガイド」さん(担当:森)
私たちが今回体験した草原ライドは、「あそたんガイドツアーズ」が運営しています。
あそたんは、ガイド兼ブログ「あそびなっせ」のライターである藤原千草さんが代表を務め、ご家族で草原ライドなどのツアーを行なっています。
藤原ご夫妻はもともとは阿蘇の魅力に惹かれて長崎県からやってきた移住者で、「阿蘇の魅力を多くの人に知って欲しい」「お世話になった阿蘇に恩返しがしたい」という思いで草原でのガイドをしています。
ツアー中には、阿蘇に移住してきてから思いもよらない出会い・体験に恵まれてきたことを伺い、「阿蘇はそんな素敵な場所であることを知って欲しい!」という藤原ご夫妻の思いが伝わってきました。
また、私たちがライドを体験できるのは、ガイドである藤原ご夫妻が草原の管理を行う牧野組合と話し合いを重ねたことで、牧野のご厚意で草原を貸してくださっているからです。
放牧している牛の所有者や牧野組合の方々としては、外部の人が草原に入ることに様々なリスクがあるものの、ご夫妻の「阿蘇の魅力を知って欲しい」という思いがたくさんの人の協力を得ることに繋がっていました。
現在も草原ライドの際にはその都度、牧野組合と情報を共有し合い、草原のどの辺りでガイドを行うことができるか話し合っているそうです。
藤原ご夫妻の思いと草原に関わる多くの人の協力があって私たちはあそたんの草原ライドを体験できるのです!
まとめ:それぞれの感想
〇普段の大学生活では感じられない大自然と人とのつながりを感じられる、とっても貴重な体験でした! (森日菜子)
〇大自然の草原を駆け巡るだけでなく、その草原を人の営みで保全してきた歴史を学び、さらに、自らも保全の一端に関われるという、阿蘇の魅力と歴史を凝縮した体験でした!! (田川大翔)
〇下調べの段階で草原の写真は何度も見たはずだったが、実際の草原はやはり格別だった。視覚はもちろん聴覚、嗅覚、触覚を総動員して味わう草原は、その存在スケールが放つ圧倒的説得力でもって空虚な「知ったような気」を粉々に消し飛ばした。 (船木翔平)
〇ガイドのお二人や管理人さんから貴重なお話をいただき、とても勉強になりました。
阿蘇の雄大な草原や、そこから見た夕日は忘れられません!
本当にありがとうございました! (吉田一喜)
〇牧野ライドで見た景色は今でも鮮明に思い出すことができるほど素敵な景色でした。何回でも体験したい素敵な体験をさせていただきました! (中村紗彩)
法政大学のみなさん、素晴らしい調査と体験レポートをありがとうございました!